イスラエル、ドゥルーズ派、国民国家法問題とは?少数派の権利と国家のアイデンティティを問うイスラエルにおけるドゥルーズ派の現状と国民国家法の影響
イスラエルに暮らすドゥルーズ派。アラブ文化と独自の宗教を併せ持つ彼らは、国家への忠誠心を持ちながらも、国民国家法によりアイデンティティを揺るがされている。少数派としての葛藤、そして社会の分断を描く。
💡 イスラエルに居住するドゥルーズ派は、アラブ系民族宗教的少数派であり、宗教的、文化的、市民権上の自己認識を持つ。
💡 イスラエル政府はドゥルーズ派を独自の宗教コミュニティとして認め、彼らはイスラエル国防軍への従軍や政治参加を行っている。
💡 2018年施行の国民国家法は、ユダヤ人の民族自決権を優先し、ドゥルーズ派など少数派のアイデンティティを揺るがした。
それでは、まずドゥルーズ派の概要から見ていきましょう。
彼らの自己認識や歴史的背景について掘り下げていきます。
ドゥルーズ派の概要と自己認識
イスラエルのドゥルーズ派、自己認識は何が最優先?
ドゥルーズ派(宗教的)を最優先。
ゴラン高原は、イスラエルとシリアの係争地であり、ドルーズ派の住民が住んでいます。
外務省の危険情報では退避勧告が出ているんですね。
公開日:2021/04/10

✅ ゴラン高原はイスラエルとシリアの係争地であり、外務省の危険情報では退避勧告が出ている一方、イスラエル人には観光地として人気があり、修学旅行先にもなっている。
✅ ゴラン高原には、ドルーズ派の住民が住み、国連兵力引き離し監視軍の基地がある。また、地雷の危険性も存在するが、スキーリゾートや自然保護区、ワインの産地としても知られている。
✅ 2019年に米国がゴラン高原をイスラエル領と認めたことを記念して、ユダヤ人入植地「トランプ・ハイツ(高原)」が作られた。
さらに読む ⇒朝日新聞+:世界のいまを伝えるウェブメディア出典/画像元: https://globe.asahi.com/article/14327714ゴラン高原には、様々な要素が混在しているんですね。
観光地であると同時に、紛争地、そしてドゥルーズ派の居住地でもあるという、複雑な地域ですね。
イスラエルのドゥルーズ派は、アラビア語を母語とし、アラブ人としての文化的なアイデンティティを持つ民族宗教的少数派です。
2019年には約143000人がイスラエルとゴラン高原に居住し、イスラエル国内の人口の約1.6%を占めています。
彼らの多くはイスラエル北部に集中しています。
彼らは、自己認識として、第一にドゥルーズ派(宗教的)、第二にアラブ人(文化的、民族的)、第三にイスラエル人(市民権上)を優先しています。
1957年にイスラエル政府はドゥルーズ派を独自の宗教コミュニティとして認めました。
なるほど、ドゥルーズ派の方々は、宗教的、文化的、そして市民権上のアイデンティティをそれぞれ大切にされているんですね。多層的な自己認識というものは、現代社会を理解する上で非常に重要ですね。
ドゥルーズ教の信仰と教義
ドゥルーズ教ってどんな宗教?秘密主義の一神教?
シーア派イスラム教から派生した神秘主義宗教。
ドゥルーズ教の信仰と教義は、一神教であり、秘密主義的な神学を持つんですね。
イスマーイール派から派生し、様々な要素を取り入れているんですね。
独特で秘密主義的な神学とは、興味深いですね。
ドゥルーズ派は、10~11世紀にエジプトで成立したドゥルーズ教を信仰しており、シーア派イスラム教イスマーイール派から派生した独自の宗教です。
彼らは一神教であり、多くの預言者を尊敬し、特にイエトロを重要視しています。
ドゥルーズ教は、グノーシス主義、新プラトン主義、ピタゴラス主義、キリスト教、ヒンドゥー教などの要素を取り入れ、独特で秘密主義的な神学を持っています。
改宗は認められていません。
彼らは、聖典にアクセスできないアル・ジュハル(無知派)と、宗教的な会合に参加するアル・ウッカル(知識派)という二つのグループに分かれています。
ドゥルーズ教って、イスラム教の中でもちょっと変わった宗教なんやね。グノーシス主義とか、いろいろな要素が混ざっとるって言うから、まるで宗教のテーマパークやな!
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イスラエルの国民国家法がドゥルーズ派のアイデンティティを揺るがす。軍務と政治参加、そして差別。少数派の怒りと分断。