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斎藤幸平の思想とは?マルクス「資本論」を現代社会にどう生かすか?

斎藤幸平の思想とは?マルクス「資本論」を現代社会にどう生かすか?
📘 この記事で分かる事!

💡 斎藤幸平氏は、気候変動や経済格差といった現代社会が直面する深刻な問題の解決策として、マルクスの「資本論」にヒントを見出しています。

💡 資本主義の成長至上主義がもたらす深刻な問題を明らかにし、持続可能な社会への転換を目指す「脱成長コミュニズム」という概念を提唱しています。

💡 その思想は、「資本論」に内在するエコロジー的視点に基づいており、国連の持続可能な開発目標(SDGs)の理念は歓迎しつつも、抜本的な変革が不可欠だと主張しています。

それでは早速、気になる内容をご紹介していきましょう。まず、斎藤幸平氏の思想とはどのようなものなのでしょうか。

斎藤幸平氏の概要

続いて、斎藤幸平氏の思想について詳しく見ていきましょう。斎藤氏は、東京大学准教授の経済学者で、1987年生まれの若き俊英です。

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公開日:2023/06/30

コラム》「脱成長コミュニズムの実現に向けて」東京大学准教授・斎藤幸平さん

✅ 斎藤幸平氏は、気候変動がもたらす異常気象や自然災害の深刻化に危機感を抱き、資本主義に代わる新しい社会経済システムとして「脱成長コミュニズム」を提唱する『人新世の「資本論」』を執筆した。

✅ 同書では、マルクスが晩年にエコロジーに関心を持ち、持続可能な世界を構想していたこと、そのためには資本主義を乗り越えなければならないと考えていたことを指摘。また、SDGsが理念としては良いものの、国連での採択時に目指された内容と乖離しており、先進国の経済成長を前提としているため、気候危機対策としては不十分であると批判した。こうした議論が反響を呼び、マルクス主義の再評価やSDGsの問題点が注目されるようになった。

✅ 斎藤氏は、脱成長コミュニズムを実現するための突破口として、国際的なネットワークの構築や、途上国の人々と対等な関係性を築きながら運動を展開していくことの重要性を強調している。国内だけで活動を進めるのではなく、若者たちがネットワークを国際的に広げながら新しい運動をつくる動きに期待を寄せている。また、単に先進国から途上国への開発援助で助けてあげるという関係性ではなく、途上国の人々から学びながら運動をつくっていくという流れが必要だと考えている。

さらに読む ⇒シャプラニール=市民による海外協力の会シャプラニール=市民による海外協力の会出典/画像元: https://www.shaplaneer.org/column/konohito/230127_vol298_saitosan/

マルクス主義をベースに、気候変動や格差という現代社会の緊急課題を分析する斎藤氏の主張は、大きな注目を集めています。

東京大学准教授の斎藤幸平氏は1987年生まれの経済学者です。東京都出身で、芝高等学校を経て東京大学を卒業後、ドイツで哲学を学びました。妻はピアニストで、2児の父です。

まじでめっちゃすごいんすね!経済学って難しそうやけど、斎藤先生みたいに分かりやすく解説してくれると興味湧いてくる〜

経済とか政治の話ってマジむずいよね〜でも、斎藤先生は若い世代にも分かりやすく説明してくれるから、俺も興味持てたわ。

あら、この斎藤先生ってば、マルクス主義者なのねぇ。わたくしは資本主義が大好きだけど、大変な時代じゃ。わはは

斎藤幸平氏の研究

斎藤氏は、資本主義がもたらす環境破壊や経済格差の問題に警鐘を鳴らしています。斎藤氏によれば、地球温暖化が深刻化する中、もはや人類は待ったなしの状況にあるのです。

🔖 関連記事の要約!斎藤 幸平氏講演「緑の資本主義の欠陥」

公開日:2023/11/21

斎藤 幸平氏講演「緑の資本主義の欠陥」

✅ 2023年7月は世界の平均気温が観測史上最高の月となり、国連のグテーレス事務総長は「地球温暖化の時代は終わり゛地球沸騰化゛の時代が到来した」と訴えた。世界中で森林火災が頻発し、その焼失面積は20年前と較べ2倍近くになっている。日本でも気温が40℃を超える地域が増え、熱中症による救急搬送も昨年の同時期と比べて2.3倍となった。夏は11月を迎えても終わらず、11月5日には全国120地点で観測史上最高の気温を記録。各地で夏日や真夏日の暑さとなった。

✅ 新型コロナウイルス感染症パンデミックや地球沸騰化などの「環境危機」と、超富裕層と極貧の間の深刻な「経済格差」により、世界の富裕層トップ1%の人がCO2全体の15%を排出している一方で、世界の富の3.5%を支配している。逆に下から50%の人が排出するCO2は全体の7%にしか過ぎないのに、気候変動の影響をもろに受けるのは彼らのほうだ。

✅ 斎藤幸平氏は、資本主義を批判し、エコロジカルな視点から「脱成長コミュニズム」と「コモンの再生」を提案している。「脱成長コミュニズム」とは、経済成長至上主義ではなく、持続可能な社会を目指すもので、「コモンの再生」とは、土地や水などの共有財の価値を再認識し、それらを保護・活用することを意味する。

さらに読む ⇒慶應丸の内シティキャンパス(慶應MCC):慶應義塾の社会人教育機関慶應丸の内シティキャンパス(慶應MCC):慶應義塾の社会人教育機関出典/画像元: https://www.keiomcc.com/magazine/sekigaku254/

斎藤氏の主張は、ますます重要性を増しています。持続可能な社会の実現に向けた取り組みが急務となっているのです。

斎藤氏はマルクス主義研究者であり、きっかけはアメリカの大学時代に経験した貧困層への炊き出しボランティアでした。そこで目の当たりにした食品廃棄の多さと貧困の対比が、資本主義の弊害を研究するきっかけとなりました。その成果がベストセラー『人新世の「資本論」』に結実しています。

やばくない?地球が茹で上がってまうやん…斎藤先生みたいなんがもっと声上げなあかんわ。

地球がヤバいのは知ってるけど、俺らに何ができるん?

わしらの若い頃はの〜、地球なんて青々としておったんじゃ。それが今じゃ真っ赤っかじゃわい。わはは

斎藤幸平氏の主張

斎藤氏は、国連の持続可能な開発目標(SDGs)を、「現代版の大衆のアヘン」だと批判しています。斎藤氏によれば、SDGsは理念としては良いものの、根本的な変革を伴わない限り、真の問題解決につながらないというのです。

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✅ SDGsは国連が2030年までに世界が達成すべき「持続可能な開発目標」として掲げたもので、地球の深刻な危機への気づきを示すものだ。しかし、経済思想家の斎藤幸平氏は、SDGsは資本主義システムの根本的な変革なしには実現できず、かえって危機への目を逸らせる「現代版の大衆のアヘン」だと批判している。

✅ 斎藤氏によれば、SDGsは「だれひとり取り残さない」という理念を掲げているが、その実現には資本主義システムの根本的な変革が必要だ。しかし、私たちは現在の資本主義以外の経済システムを想像することが難しい。

✅ 斎藤氏は、SDGsの課題をより根本的に考えるべきだと主張している。具体的には、資本主義の成長至上主義や、経済成長を最優先する価値観を問い直す必要があるという。また、持続可能な社会を実現するための、より包括的なビジョンを構築する必要があるとしている。

さらに読む ⇒朝日新聞デジタル:朝日新聞社のニュースサイト朝日新聞デジタル:朝日新聞社のニュースサイト出典/画像元: https://www.asahi.com/sdgs/article/10795159

斎藤氏は、SDGsが根本的な問題を解決せんと言うとんや。もっと根本から変えなあかんねん。

斎藤氏はSDGsを批判し、過剰な消費と生産が問題の根源であると主張します。また、資本主義の格差社会にも疑問を投げかけ、若い世代が従来のライフスタイルを「ダサい」と感じるようになったことを指摘しています。さらに、家庭生活の重視や育児休業の取得支援など、個人から社会全体の取り組みに広げることで、子供たちの未来を幸せにできると考えます。

え〜SDGsってダメなん?なんかいいこと言うてる感じするけどな〜

斎藤先生はSDGsが根本的な問題を解決せん言うとんや。もっと根本から変えなあかんねん。

SDGsじゃの〜わしらはもうおらんかもしれんがの〜、若い衆が頑張らんといけんわい。わはは

斎藤幸平氏の思想的背景

マルクス主義研究者である斎藤氏は、マルクス晩年の著作からエコロジー的視点を掘り起こしています。

🔖 関連記事の要約!哲学や思想は、このどうしようもない現実を変えることができるのか――。斎藤幸平×高橋哲哉でおくる「危機の時代と人文学」(斎藤 幸平,高橋 哲哉)
哲学や思想は、このどうしようもない現実を変えることができるのか――。斎藤幸平×高橋哲哉でおくる「危機の時代と人文学」(斎藤 幸平,高橋 哲哉)

✅ 斎藤幸平氏は、高校時代に東京の私立中高一貫校に通っていたが、大学に入ると地方出身者や家庭環境の異なる同級生と出会い、自分が前提としてきた枠組みからは見えなくなっている問題があることに気づいた。そのきっかけの一つが、マルクス主義との出会いだった。

✅ 高橋哲哉氏は、フッサールなどの超越論的観念論を研究していたが、政治・社会問題への関心からデリダなどの現代思想を取り入れ、哲学は「出来事」に晒されなければ意味がないと考えるようになった。

✅ 斎藤氏は、福島原発事故を自分にとっての「出来事」と捉え、資本主義における特権性と抑圧に気づいた。また、沖縄の基地問題などにも積極的に発言し、社会問題に対して声をあげる研究者でありたいと考えている。

さらに読む ⇒現代ビジネス | 講談社 @gendai_biz現代ビジネス | 講談社 @gendai_biz出典/画像元: https://gendai.media/articles/-/126298

斎藤氏は、マルクス主義の再評価や新しい社会運動のあり方を提示しています。

斎藤氏は哲学者・経済思想家の高橋哲哉氏の影響を受けて思想を学ぶようになりました。高橋氏の著作に触発され、戦後責任問題や靖国問題を考えるようになり、デリダの研究からマルクスや資本主義の研究へとシフトしました。斎藤氏は高橋氏を「自身の思想的「息子」の1人」と表現し、大きな影響を受けていることを語っています。

マルクスって資本主義の悪いとこばっかり言うイメージやったけど、環境問題にも興味あったんや〜

斎藤先生がマルクスを掘り起こしたんやね。まじリスペクトやわ〜

あら、マルクスも晩年にはエコロジーに興味があったんじゃねぇ。わしは知らなんだわ。わはは

斎藤幸平氏の懸念

斎藤氏は、学問の自由が侵害されていると懸念を表明しています。

🔖 関連記事の要約!毎日フォーラム・言いたい/聞きたい:経済思想家 斎藤幸平さん

公開日:2023/06/09

毎日フォーラム・言いたい/聞きたい:経済思想家 斎藤幸平さん

✅ 斎藤幸平氏は、新自由主義社会における格差や貧困の問題を改善するためには、マルクスの「資本論」に描かれた基本方針に従う必要があると考えている。この基本方針とは、資本主義システムの矛盾や欠陥を明らかにし、そこから脱却するための指針として機能するものである。

✅ 斎藤氏は、「資本論」の基本方針に基づき、持続可能で公正な社会を実現するためには、私たち自身が試行錯誤を重ねて、その具体的な道筋を見いださなければならないと主張している。これは、単にマルクスの理論をそのまま適用するのではなく、現代社会の状況や課題を踏まえた上で、創造的に応用していく必要があることを意味する。

✅ 斎藤氏の著書『ゼロからの「資本論」』は、マルクスの思想を日本の現状と照らし合わせながら解説したもので、特に若い世代に向けた入門書として書かれている。斎藤氏は、若い世代が資本主義システムの根本的な問題を理解し、より良い社会を創造するための行動を起こすことを期待している。

さらに読む ⇒ニュースサイトニュースサイト出典/画像元: https://mainichi.jp/articles/20230606/org/00m/010/003000d

斎藤氏は、アメリカでパレスチナ問題について発言を控えるよう求められたことを明らかにしています。

斎藤氏は、アメリカの大学でパレスチナ問題に関する発言を控えるよう求められたことに懸念を表明しています。学問の自由が侵害されていると主張し、ベトナム戦争当時の状況に似ていると指摘しています。

え〜学問の自由が侵害されてるってマジ?やばない?

アメリカでそんなことあったと?斎藤先生大丈夫なん?

学問の自由は大事じゃ。わしらの頃も言論弾圧があったんじゃ。わはは

このように、斎藤幸平氏の思想は、現代社会が直面する諸問題を鋭く分析し、解決のためのヒントを与えています。

🚩 結論!

💡 マルクスの「資本論」を現代社会に生かすという斎藤氏の主張は、持続可能な社会の実現に向けて大きな示唆をもたらします。

💡 SDGsの問題点を指摘し、より根本的な変革の必要性を訴える斎藤氏の批判は、私たちが抱える社会課題を再考するきっかけを与えています。

💡 さらに、学問の自由が侵害されているという斎藤氏の懸念は、言論の重要性を改めて認識させるものです。