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日中関係の現状と課題:改善の兆しと立ちはだかる壁は?日中関係の現状と課題

2014年の関係改善以降も、日中関係は複雑な課題を抱え、停滞気味。尖閣問題や歴史認識、国民感情の溝は深い。米中対立下での日本の立ち位置も焦点。経済的互恵関係を維持しつつ、安全保障リスクや国際秩序の変化に対応し、信頼醸成と課題解決へ向けて政府と国民レベルでの努力が不可欠。世論調査から見える相互不信と、それでも協力への希望。

日中関係の現状と課題:改善の兆しと立ちはだかる壁は?日中関係の現状と課題

📘 この記事で分かる事!

💡 日中関係は、歴史認識問題や尖閣諸島問題など、様々な課題を抱えているが、経済的な相互依存関係は深く、協力関係の構築は重要。

💡 近年の日中首脳会談では、関係改善に向けた動きが見られる一方、国民感情や国際秩序の変化が課題として浮上している。

💡 日中世論調査では、両国民の相手国に対する印象が二極化しており、今後の関係構築における課題が浮き彫りになっている。

それでは、日中関係を巡る様々な側面について、順番にご紹介していきます。

日中関係改善に向けた動きと課題

日中関係改善に向けた大きな転換点となったのは何?

2014年首脳会談

本日は、日中関係改善に向けた動きと課題について掘り下げていきます。

日中首脳会談、習主席が戦略的互恵関係の再確認呼びかけ

公開日:2023/11/17

日中首脳会談、習主席が戦略的互恵関係の再確認呼びかけ

✅ 習近平国家主席は、岸田文雄首相との会談で、日中両国が「戦略的互恵関係」の位置付けを再確認し、新たな意味合いを持たせるべきだと述べました。

✅ 習主席は、両国は「共通の利益に焦点を当て、相違点を適切に処理」すべきだと述べ、岸田首相は、日中が共存共栄し、世界の平和と繁栄に貢献する責任があると述べました。

✅ 岸田首相は今回の会談で、中国に日本産食品の輸入規制の即時撤廃を強く働きかけていくことを表明しました。

さらに読む ⇒ロイター 経済、株価、ビジネス、国際、政治ニュース出典/画像元: https://jp.reuters.com/world/china/2Y4HOMPX3NMH7D3Y6I6LKBKBIA-2023-11-17/

今回の会談は、関係改善に向けた一歩として評価できます。

ただ、国民レベルでの相互理解や国際秩序への対応など、課題は山積みですね。

2012年9月の尖閣諸島の国有化以降、日中関係は長期の対立状況に陥っていましたが、2014年11月の日中首脳会談により、関係改善に向けた動きが見られました。

今回の首脳会談では、尖閣問題や歴史問題に関する戦略的曖昧性を含む合意文書が発表され、日中の「戦略的互恵関係」の再確認、歴史問題への対応、尖閣と東シナ海をめぐる危機管理、多様多層の交流と信頼醸成の促進などが明記されました。

特に、危機管理メカニズムの構築を通じて「不測の事態の発生を回避する」ことが表明された点は注目すべきです。

しかし、日中関係には、国民的理解や国際秩序形成といった構造的な課題も存在しています。

国民レベルでの相互理解を深め、国際社会における責任ある役割を果たすためには、更なる努力が必要です。

また、中国の経済成長とそれに伴う影響力拡大は、国際秩序に大きな変化をもたらしており、日中両国は、相互理解に基づいた協力関係を構築していく必要があります。

今回の首脳会談は、日中関係改善に向けた重要な一歩ですが、今後の課題解決に向けては、両国政府だけでなく、国民レベルでの意識改革と協力が必要不可欠です。

今回の日中首脳会談は、関係改善への意思を示すもので、評価できます。しかし、それはスタート地点に過ぎず、今後の具体的な行動と国民レベルでの相互理解が重要です。

安倍政権下における日中関係の改善と課題

安倍政権下の日中関係は改善傾向にあるが、課題は?

正常化は未達成

安倍政権下の日中関係の改善と課題について見ていきましょう。

険悪化する米中関係どうする日本?

公開日:2018/11/03

険悪化する米中関係どうする日本?

✅ 米国の対中政策は、「中国を競争国と位置づけ、アメリカの民主主義に干渉している」と断じ、中国の存在を脅威だと訴えている。ペンス副大統領の演説では、中国の不公平な貿易慣行、軍事力増強、人権弾圧、途上国への影響力拡大、アメリカ国内での宣伝工作活動など、幅広い問題点が指摘されている。

✅ 日本は、米国の対中政策と、関係改善を進めている中国との関係調整という難しいかじ取りを迫られている。米中関係は「新冷戦」とも呼ばれ、日本は同盟国である米国との関係を維持しながらも、中国との安定的な関係構築を模索する必要がある。

✅ トランプ政権は、貿易紛争、軍事力強化、外交的な圧力などを通じて中国への強硬姿勢を強めている。この対中戦略は、トランプ大統領個人の感情的な言動ではなく、米政府全体の方針に基づいた確固たる意思によるものと言える。

さらに読む ⇒論座アーカイブ出典/画像元: https://webronza.asahi.com/politics/articles/2018103100002.html

安倍政権の取り組みは、関係改善への努力として評価できます。

しかし、米中対立という大きな枠組みの中で、日本のスタンスが問われる状況ですね。

安倍政権は、就任当初は日中関係を静観し、靖国神社参拝による関係悪化を経て、14年1月からの施政表明演説で関係改善を表明しました。

その後、首脳会談を定例化させ、17年には一帯一路に対する日中協力の可能性を示唆するなど、中国側に歩み寄りを見せました。

一方、中国側も18年5月の習近平氏と安倍首相の電話会談など、日中関係改善に向けた動きを見せ、19年には習近平主席が日本を訪問するなど、関係は改善傾向にあります。

しかし、日中関係の改善は「正常化」と言われるように、大きなマイナスをゼロに近づけたに過ぎず、実質的な内容が伴っているとは言い難い状況です。

また、米中関係が悪化する中、日本の対中政策は定まらず、日中関係の基礎をどのように構築していくかが今後の課題となっています。

安倍政権は、日中関係改善に努力し、国民の世論に沿った関係性づくりを行いましたが、米中対立下での日本のスタンスは依然として不明確です。

今後、日中関係は、経済重視の現実的な関係性と、歴史認識問題などの複雑な問題を抱えながら、新たな関係性を構築していく必要があり、次期政権は、この課題に取り組むことになります。

安倍政権は、外交手腕で日中関係を改善しようと努めた点は評価できると思いますわ。でも、米中のはざまで、どないなるんやろなぁ。

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悪化する日中関係。米中対立、国民感情、課題山積。信頼回復へ、政治・経済・国民レベルでの努力が不可欠。未来を左右する両国の協調とは?