WTO上級委員会機能停止問題とは?(原因、影響、今後の課題)WTO紛争解決の危機
WTOの紛争解決の要、上級委員会が米国の指名拒否により機能停止。上訴案件が宙に浮き、貿易摩擦激化の懸念も。協定解釈の混乱や法的基盤への影響も危惧される。WTOの将来を左右する問題として、機能回復に向けた各国の協力が不可欠。
💡 WTOの上級委員会が、米国の委員指名拒否により機能停止という危機的状況。
💡 機能停止により、上訴案件の審理が事実上不可能となり、紛争解決プロセスに遅延が発生。
💡 今後の課題として、代替手段の模索、暫定的な枠組みの合意、WTO改革の必要性など。
それでは、まずWTOの上級委員会が機能停止に至った背景と、その問題点について詳しく見ていきましょう。
WTO上級委員会の機能停止
WTO上級委員会はなぜ機能停止に陥ったのか?
米国による委員指名拒否
2019年12月にWTOの上級委員会が機能停止に陥った経緯とその影響について解説します。

✅ WTOの上級委員会が2人の委員の欠員により実質的に機能停止した。そのため、同委員会に付託された13件の案件のうち10件は審理が不能となる見込みである。
✅ 米国はWTOの紛争解決手続きに対し、上訴申し立てから報告書送付までの期限や勧告的意見の存在など、複数の問題点を指摘し、上級委員の選考プロセスを阻止してきた。この問題により、WTOは2020/2021年の予算成立も阻止されている。
✅ 上級委の機能停止は、2審制による紛争解決プロセスにおける公平性と信頼性を損なう恐れがあり、早急な改革が求められている。代替手段として「仲裁」を用いるなどの、紛争解決機能の強化に向けた議論が進められている。
さらに読む ⇒ジェトロ(日本貿易振興機構)出典/画像元: https://www.jetro.go.jp/biznews/2019/12/68b0069b07164504.htmlこれは、WTOの紛争解決機能にとって大きな問題ですね。
2審制の公平性や信頼性が損なわれる恐れがあるというのは、とても重要だと思います。
2019年12月11日、WTO上級委員会は、米国の委員指名拒否により機能停止に陥りました。
これは、米国が上級委員会の権限の行使を批判し、2017年夏以降委員指名を阻止してきた結果です。
上級委員会の機能停止により、現在上訴中の案件は宙に浮いた状態となっています。
これは由々しき事態やな。アメリカがごねたせいで、WTOが機能不全に陥るとは。早急な改革が必要やな!
上級委員会の機能停止の影響
上級委員会、機能停止の危機?
結審見込みなし
上級委員会の機能停止が、具体的にどのような影響を与えているのか、詳しく見ていきましょう。
上訴案件が宙に浮いてしまっている状況は深刻ですね。
事務局長の解任要求など、内部の問題も複雑に絡み合っているようです。
上級委員会の機能停止は、すでに口頭聴聞を終えている豪州・タバコ簡易包装事件、米国・上質紙相殺関税事件、ロシア・鉄道機材事件の3件を除き、残りの案件は結審の見込みがない状況となっています。
また、上級委員会の事務局長に対する批判も発生し、事務局長の解任を求める動きも出ています。
いやー、これは笑えない話やで。国際的な紛争解決の仕組みがこんなことになってるとは。ほんま、どうしたらええねん!
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WTO上級委員会の機能停止が紛争解決を停滞させ、貿易摩擦激化の恐れ!協定解釈の混乱も招く。WTOの未来を左右する問題。