中銀カプセルタワービルは、なぜ解体されるのか?メタボリズム建築の未来とは!?
メタボリズム建築の象徴!銀座の白い箱舟「中銀カプセルタワービル」の過去・現在・未来。保存活動から3Dデータ化まで、その魅力と挑戦に迫る!
💡 中銀カプセルタワービルは、メタボリズム建築の象徴的な作品です。
💡 老朽化のため解体されることが決まっている中銀カプセルタワービルですが、その保存活動が進められています。
💡 3Dデータ化によって、建物の価値を未来に継承しようとする動きがあります。
それでは、最初の章へ進みましょう。
メタボリズム運動と中銀カプセルタワービルの誕生
カプセルタワービルが象徴する「メタボリズム」とは?
社会と環境の変化に対応する建築思想
中銀カプセルタワービルは、まさに未来都市を象徴する建築ですね。

✅ 黒川紀章が設計した「中銀カプセルタワービル」の解体から救出されたカプセルを用いて、メタボリズム建築の実現を目指す「中銀カプセルタワービルA606プロジェクト」が、クラウドファンディングを実施している。
✅ プロジェクトでは、救出されたカプセルを「動く建築」として活用し、ミニタワー建設を目指している。
✅ クラウドファンディングにより、カプセル追加救出費用、リターン制作費用などに充当し、黒川のメタボリズム建築を未来につなげるための活動を支援する。
さらに読む ⇒TECTURE MAG(テクチャーマガジン) 出典/画像元: https://mag.tecture.jp/culture/20221105-76856/
カプセルを「動く建築」として活用するとは、斬新な発想ですね。
1960年代、日本の建築家たちは、社会と環境の変化に合わせて建築や都市も新陳代謝していくべきだという「メタボリズム」という思想を提唱しました。
メタボリズム運動を象徴する建築物として、1972年に完成した『中銀カプセルタワービル』は、2棟のメインタワーにキューブ状のスチール製ユニットが積み重なったユニークな構造を持つ集合住宅です。
このビルは、ビジネスパーソン向けの独立式住居として設計され、各ユニットは円形の舷窓を備え、コインランドリーの洗濯機を積み重ねたような、あるいはレゴの模型を拡大したような見た目です。
黒川紀章は、伝統的な日本文化に根付く「モビリティ」と「はかなさ」を重視し、需要に応じて自在に移動・成長するビルや都市を構想していました。
中銀カプセルタワービルは、その思想に基づいて設計され、各ユニットは2.5m×4m×2.5mというサイズで、黒川は「伝統的な茶室と同等の大きさである」と説明していました。
このビルは、ユートピア的な都市生活様式を提案しており、限られたスペースや設備を活用して、食事や人づきあいなど、本来なら自宅でするはずの活動を外部で行うことを想定していました。
そうですね。メタボリズム建築は、建築と都市が有機的に成長していくという考え方で、まさに未来都市への憧れを感じます。
中銀カプセルタワービルの現状と保存活動
老朽化した中銀カプセルタワービル、今どうなってる?
保存活動中
中銀カプセルタワービルは、今も多くの人に愛されているんですね。
公開日:2022/11/08

✅ 前田達之さんは、中銀カプセルタワービルのカプセルオーナーとなり、保存・再生プロジェクトを立ち上げた人物です。
✅ 小学生の頃から中銀カプセルタワービルに魅了され、2007年に電柱に貼られた「売りカプセル」の看板を見て、自らカプセルを購入しました。
✅ その後、カプセルオーナーとして管理組合活動に参加し、建物の保存活動に尽力。15カプセルを所有し、2014年に中銀カプセルタワービル保存・再生プロジェクトを発足させ、見学ツアーや書籍出版などを通じて建物の価値を広めました。
さらに読む ⇒ロケットニュース24出典/画像元: https://rocketnews24.com/2022/11/08/1605472/15カプセルも所有するとは、前田さんの熱意が伝わってきます。
中銀カプセルタワービルは、当初20~25年ごとにカプセルを交換して建物を維持する「新陳代謝」をコンセプトとしていました。
しかし、老朽化が進んで交換は行われず、現在では給排水管の老朽化や雨漏りなどが深刻な問題となっています。
それでも、個性的なカプセルに住む人やオフィスとして利用する人は多く、近年では趣味に没頭する空間として借りる人も増えています。
2014年には「中銀カプセルタワービル保存・再生プロジェクト」が立ち上がり、2018年には短期賃貸契約「マンスリーカプセル」を開始しました。
プロジェクト代表の前田達之さんは、このビルを愛する住人たちと「偏愛」を共有し、管理組合で発言力を高めるために15カプセルを所有しています。
ビルを取り壊しから守るために、前田さんはクラウドファンディングで資金を集め、「中銀カプセルタワービル銀座の白い箱舟」を出版しました。
カプセル内の見学会も好評で、保存活動は着実に進んでいます。
アハハ、前田さん、カプセル愛が半端ないですね!
中銀カプセルタワービルの建設背景とビジネスマン向けのセカンドハウス構想
中銀カプセルタワービルの建設背景は?
人口増加に対応した住宅不足
中銀カプセルタワービルは、ビジネスマン向けのセカンドハウスというコンセプトだったんですね。
公開日:2024/10/02

✅ 「中銀カプセルタワービル」は黒川紀章の代表作であり、1972年に竣工後、世界中から注目を集めてきたが、2022年に取り壊されることが決まった。
✅ 同ビルは、黒川紀章が提唱した「カプセル」という概念に基づいて設計されており、個人の自立と家族像の変化に対応する新しい居住空間として提案された。
✅ カプセル内部は、ベッド、収納家具、バスルームなどが備え付けられ、最先端のテクノロジーと銀座の街の景観を楽しめる生活空間を提供していた。
さらに読む ⇒R100 tokyo | 都心の100平米を超えるマンション出典/画像元: https://r100tokyo.com/curiosity/tokyo-architecture/220201/カプセル建築は、当時の最先端技術を駆使した、まさに未来の住まいだったんですね。
中銀カプセルタワービルは、1957年から貸ビル事業会社を営んでいた渡辺酉蔵氏が、都市の人口増加に対応する高層化住宅に着目し、1961年に設立した『中銀マンシオン株式会社』によって建設されました。
黒川紀章氏は、ビジネスマン層がカプセルを「都市のセカンドハウス」として利用することを期待しており、大阪万博で未来の住宅として展示したカプセル建築は、ついに不動産市場において販売されるようになりました。
カプセル建築は、ビジネスマンの都心の拠点として、オフィスやホテル機能、電話応対やセクレタリーサービスなどを提供する多目的な空間として設計されました。
黒川氏がカプセル建築を通じて提案した新しいライフスタイルは、日本だけでなく世界中で議論されています。
ええ、カプセルの中で、食事や人づきあいをするっていうのは、今の時代には考えられないですよね。
中銀カプセルタワービルの3Dデータ保存プロジェクト
中銀カプセルタワービルの歴史をデジタルで保存するgluonのプロジェクトとは?
3Dデータ保存 & 公開
3Dデータ保存プロジェクトは、中銀カプセルタワービルの姿を未来に残すための重要な取り組みですね。

✅ 「3Dデジタルアーカイブプロジェクト」では、名建築である中銀カプセルタワービルを解体前に3次元データで保存し、その価値を後世に継承することを目指している。
✅ レーザースキャンや写真、ドローン撮影などを駆使して、建物の形状や構造を正確に記録し、3次元データとして保存することで、従来の2次元記録では捉えきれない建築の空間や質感、経年変化などを記録する。
✅ このプロジェクトはクラウドファンディングで資金を募っており、目標達成時には3次元点群データをオープンソースとして公開することで、学術研究や新たな創作活動に役立てられることを目指している。
さらに読む ⇒プレスリリース配信サービス | valuepress出典/画像元: https://www.value-press.com/pressrelease/2942463Dデータ化によって、建築の空間や質感、経年変化まで記録できるのは素晴らしいですね。
gluonは、建築・都市を軸に新たな価値を創出するプラットフォームとして、3次元計測技術を活用した「中銀カプセルタワービル」の3Dデータ保存プロジェクトを実施しています。
レーザースキャンと写真データを用いて、建物の複雑な形状や構造をミリ単位で正確に記録し、住人の改変跡や経年変化も記録することで、建築の価値を後世に継承することを目指しています。
目標金額達成後は、3D点群データをオープンソースとして公開することで、学術研究や新たな創造活動に繋げたいと考えています。
本プロジェクトは、「中銀カプセルタワービルA606プロジェクト」と連携し、学術的調査も同時に行っています。
3Dデータのオープンソース化は、学術研究だけでなく、新たな建築設計にも役立つでしょう。
メタボリズム運動が与えた影響と未来都市
「ブレードランナー」と「中銀カプセルタワービル」の共通点は?
未来都市
『ブレードランナー』と『中銀カプセルタワービル』は、どちらも未来都市をテーマにした作品ですね。

✅ 映画「ブレードランナー」は、1982年公開のSF映画であり、その未来都市は退廃的で混沌とした風景を描いています。映画監督のリドリー・スコットは、歌舞伎町や香港の街並みをインスピレーション源としており、その作品は後のSF映画に多大な影響を与えました。
✅ 1972年に東京に誕生した「中銀カプセルタワービル」は、黒川紀章が設計したカプセル型の集合住宅です。これは、日本の建築思想「メタボリズム」を具現化した建築の1つであり、社会や環境の変化に合わせて、新陳代謝を繰り返す未来都市の概念を提案しています。
✅ 「中銀カプセルタワービル」は、約10平方メートルのワンルームカプセル住宅が140基積み重ねられており、カプセルは取り外し・交換が可能です。老朽化や引っ越し、家族構成の変化に合わせて、カプセルを交換したり、別の都市に移設したりすることができます。この建築は、まさに「メタボリズム」の概念を体現したものであり、現在も銀座の一等地に建ち続けています。
さらに読む ⇒JBpress (ジェイビープレス) | リアルな知性で世界に勝つ出典/画像元: https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/66199中銀カプセルタワービルは、メタボリズム建築の象徴として、これからも語り継がれるでしょう。
『ブレードランナー』は、1982年公開のSF映画で、未来都市を舞台にしています。
この映画は、1968年出版の小説『アンドロイドは電気羊の夢をみるか?』を原作とし、未来都市は香港や歌舞伎町などの混沌とした風景をイメージしています。
一方、『中銀カプセルタワービル』は、日本の建築思想『メタボリズム』を具現化した建築で、カプセル型の集合住宅として世界で初めて実用化されました。
「中銀カプセルタワービル住宅カプセル」は、かつて銀座にあった中銀カプセルタワービルのモデルルームで、今は北浦和公園に移設されパブリックアートとして展示されています。
黒川紀章はメディア型の建築家として知られ、自身の建築理念をメディアを通じて発信し続けました。
中銀カプセルタワービルも、彼の建築哲学とメディア戦略によって実現した作品です。
メタボリズムは、建築と都市が有機的に成長していくという考え方で、1960年代に国際的に注目されました。
中銀カプセルタワービルは、メタボリズム建築の代表的な作品であり、日本の建築史において重要な位置を占めています。
メタボリズム建築は、未来都市への憧れと、社会や環境への関心を教えてくれますね。
中銀カプセルタワービルは、建築史に残る貴重な建築物であり、メタボリズム建築の象徴です。
💡 老朽化のため解体されることになりましたが、保存活動や3Dデータ化によって、その価値が未来に継承されます。
💡 メタボリズム建築は、未来都市への憧れと、社会や環境への関心を私たちに教えてくれます。
💡 中銀カプセルタワービルの解体は、私たちに未来の都市について考えさせられる機会となります。