南海トラフ地震の発生確率、時間予測モデルで本当にわかる?時間予測モデルとは!?
地震発生確率は「70%~90%」って、実際どう計算されてる? 2つのモデルで解説! 南海トラフ地震の評価にも役立つ、時間予測モデルも紹介!
💡 南海トラフ地震の発生確率は、近年、見直しが進められている。
💡 地震発生確率の計算には、時間予測モデルが用いられている。
💡 時間予測モデルは、過去の地震の発生間隔を参考に、今後の地震発生確率を算出する。
それでは、最初の章に移りましょう。
地震発生確率の計算方法
地震発生確率はどのように計算されるの?
平均発生間隔や過去の発生時期を参考に計算
地震発生確率は、30年以内の発生確率が示されることが多いですが、これはあくまでも確率であり、必ず発生するとは限りません。

✅ 政府の地震調査委員会は、宮城県沖を震源とするマグニチュード7クラスの地震について、30年以内の発生確率を「70%から90%」に引き上げました。
✅ これは、前年の「70%から80%」から引き上げられたもので、宮城県沖の地震は発生間隔が38年に一度程度と短いため、1年当たりの発生確率の上がり幅が大きくなっているためです。
✅ 委員長である平田直東京大学名誉教授は、東北地方太平洋沖地震、東日本大震災の時よりも高い津波が来る可能性もあるとして、特に岩手県北部より北側の方への注意を呼びかけています。
さらに読む ⇒khb東日本放送出典/画像元: https://www.khb-tv.co.jp/news/15118355なるほど、地震の発生確率は、過去のデータに基づいて計算されるんですね。
阪神・淡路大震災以降、地震調査研究推進本部は地震研究の成果を社会に伝え、防災意識の向上を図るため、地震動予測地図と長期評価を実施しています。
長期評価では、地震発生確率を計算し、公表しており、2024年1月1日現在、宮城県沖の陸寄りの地震の30年以内の発生確率は70%~90%に更新されました。
しかし、地震発生確率の数字が何を意味するのか理解できないという声も少なくありません。
そこで、本資料では、地震発生確率の計算方法について2つのモデルを紹介します。
1つ目のモデルは、時間の経過とともに確率が変化するモデルで、同じ場所で同じような地震がほぼ一定の間隔で繰り返すことを前提としています。
このモデルでは、地震の平均的な発生間隔、最後に地震が発生した時期、発生間隔のばらつきの度合いなどを参考に、確率を計算します。
2つ目のモデルは、時間の経過しても確率が変化しないモデルで、平均発生間隔が一定だが不規則に発生する事象の発生確率を計算する際に用いられます。
このモデルでは、最後に地震が発生した時期は考慮せず、平均発生間隔に基づいて、今後30年以内に地震が発生する確率を計算します。
本資料では、具体的な例を用いて、それぞれのモデルでの確率計算方法を解説しています。
また、地震発生確率の更新について、毎年数値が更新されるものとされないものがあること、その理由についても説明しています。
司会の方、ありがとうございます。地震の発生確率は、決して絶対的なものではありません。あくまでも目安として捉えることが重要です。
南海トラフ地震における時間予測モデル
南海トラフ地震の予測に時間予測モデルは有効か?
有効性は課題あり
時間予測モデルは、物理的な根拠に基づいていますが、課題もあるんですね。

✅ 時間予測モデルは、前回の地震のすべり量と次の地震までの間隔が比例するというモデルで、大きな地震の後には次の地震までの間隔が長くなることを意味します。
✅ 南海トラフの長期評価では、室津港の隆起量を用いた時間予測モデルが使われています。このモデルによると、次の地震までの間隔は平均発生間隔より短くなることが示唆されています。
✅ 時間予測モデルは物理的な背景に基づいたモデルで、平均発生間隔のみを用いた手法に比べて発生時期の推定精度が高いとされていますが、データの不足や地震の震源域の多様性など課題も指摘されています。
さらに読む ⇒地震本部出典/画像元: https://www.jishin.go.jp/main/herpnews/series/2013/jul/yogo07/yogo_07.html時間予測モデルは、過去の地震データに基づいて、今後の地震発生時期を予測するモデルです。
この文献は、南海トラフ地震の評価に時間予測モデルを適用することの妥当性について考察している論文です。
論文では、時間予測モデルとは何か、南海トラフ地震の評価においてどのように役立つのか、そしてその適用における課題などを論じています。
文献の内容の詳細については、JDreamⅢで閲覧することができます。
時間予測モデルは、前回の地震のすべり量と次の地震までの間隔が比例するというモデルです。
つまり、大きな地震の後では次の地震までの間隔が長く、小さな地震の後では間隔が短いということです。
このモデルは、プレート境界にひずみが一定の割合で溜まり、ある大きさに達すると地震が発生するという物理的なモデルに基づいています。
ほな、この時間予測モデルって、ほんまに当たるんかな?
時間予測モデルを用いた南海トラフ地震の評価
南海トラフ地震、次はいつ?
平均より早く、88.2年後
南海トラフ地震は、過去に何度も発生しているんですね。

✅ 南海トラフの巨大地震発生時には、高知市は沈下し、室戸岬は隆起する。
✅ 過去の地震データに基づき、室戸岬の隆起量が年代に対して階段状になっていることから、次の南海トラフの巨大地震は2030年頃に発生する可能性が高いと推測される。
✅ 南海トラフの巨大地震は、たとえ2030年頃に発生しなくても、時間経過とともに地震のエネルギーは大きくなるため、常に備えを行う必要がある。
さらに読む ⇒DMA出典/画像元: https://dma-fmiura.com/entry169.htmlこのモデルによると、次の南海トラフ地震は、2030年頃に発生する可能性が高いとのことですね。
南海トラフの長期評価では、断層のずれの量ではなく、室津港の隆起量を用いて時間予測モデルが用いられています。
過去の3回の地震データから、時間予測モデルでは次の地震までの間隔は平均発生間隔より短く、88.2年と推定されています。
このモデルは物理学的背景を加えたため、平均発生間隔のみを用いた手法に比べて発生時期の推定精度が高いと言われています。
えーっと… 2030年頃に発生する可能性が高いって、ちょっと怖いですね。
時間予測モデルの課題
南海トラフの地震評価は十分か?
データ不足で課題あり
なるほど、時間予測モデルにも課題はあるんですね。
公開日:2021/03/15

✅ 南海トラフ地震の発生確率は、国の地震調査研究推進本部が30年以内に60~70%と発表しているが、実際には地震学者による別の算出方法で10~30%という確率が支持されていた。
✅ このずれは、地震調査委員会が長期評価において過去の発生間隔に基づいた「単純平均モデル」を採用している一方、30年という期間は防災政策的な理由で設定されているため、地震学的な根拠に基づいていないことが原因の一つとして考えられる。
✅ 30年という期間設定によって、地震発生間隔の実際の長さや確率の精緻な評価が困難になっている可能性も指摘されている。
さらに読む ⇒ニュースサイト出典/画像元: https://mainichi.jp/articles/20210305/k00/00m/040/301000c地震発生確率の算出方法によって、結果が大きく異なる場合があるんですね。
しかし、南海トラフではデータ量が少なく、地震の震源域の多様性に対して室津港の隆起量だけで評価できるのかなど、課題も指摘されています。
司会の方、ありがとうございます。時間予測モデルは、地震発生確率の予測に役立ちますが、完璧なものではありません。
今後の展望
南海トラフ地震の発生確率予測に、時間予測モデルは有効か?
今後の研究開発が期待される
今後の研究開発で、より精度の高い予測が可能になるといいですね。

✅ 南海トラフ地震の30年発生確率が70~80%に見直された理由は、過去の地震活動履歴に基づく時間予測モデルによる推定で、最近の地震発生間隔から、次の地震は従来より早く発生する可能性が高まったと判断されたためです。
✅ 時間予測モデルでは、前回の地震の規模が大きいほど、次の地震までの間隔は長くなる傾向があり、過去の宝永・安政・昭和地震の規模と発生間隔から、昭和地震の次は従来より短い間隔で発生する可能性が高いと考えられています。
✅ ただし、慶長地震や安政・昭和地震の震源域の解釈など、異なる見解もあり、地震発生のタイミングは必ずしも時間予測モデルで正確に予測できるわけではなく、他の要因も考慮する必要があるとされています。
さらに読む ⇒Yahoo!ニュース出典/画像元: https://news.yahoo.co.jp/expert/articles/47bfe923c221275025530446765bbb18af6d834c今後の研究開発で、より精度の高い時間予測モデルが開発されることを期待しています。
時間予測モデルを用いた南海トラフ地震の評価は、地震発生確率の計算方法の一つとして、今後の研究開発が期待されます。
ほな、この時間予測モデル、いつになったら完璧になるんやろか?
南海トラフ地震は、いつ発生するか予測することは難しいですが、日々の備えが大切です。
💡 南海トラフ地震は、発生間隔が長く、過去のデータが限られるため、正確な予測は難しい。
💡 時間予測モデルは、地震発生確率の予測に役立つが、完璧なものではない。
💡 地震への備えは、地域住民一人ひとりが意識することが重要である。