EUとメルコスールFTA、日本の輸出にどんな影響が?農産物自由化とは!?
💡 EUとメルコスールが自由貿易協定交渉で合意したこと
💡 農産物の自由化によって、日本の輸出に影響が出ること
💡 EU農家の懸念と抗議活動について
それでは、EUとメルコスールのFTAについて詳しく見ていきましょう。
FTAの合意と農産物の自由化
EUとメルコスールがFTAで合意したことは、両地域にとって大きな経済効果が期待されるので、非常に喜ばしいことです。
✅ ブラジルとEUは、メルコスール・EUの自由貿易協定(FTA)交渉で合意に至りました。これは、両地域を合わせると世界のGDPの25%、人口7億8,000万の市場規模となる重要な協定です。
✅ この協定により、ブラジルはEU向け輸出関税の低減、オレンジジュースなどの農産物の市場アクセス改善などを得ることが期待されます。一方、EUからの輸入に関しても、国内生産者にとって、原材料・資材へのアクセス改善や価格低下につながり、ブラジル経済の競争力強化に資するとされています。
✅ ブラジル工業連盟(CNI)は、協定合意を歓迎しながらも、国内市場の開放には「深い国内改革」が必要であると指摘しています。これは、ブラジルの高率かつ複雑な税制や硬直的な労働法などの改革が必要であることを意味しています。
さらに読む ⇒ジェトロ(日本貿易振興機構)出典/画像元: https://www.jetro.go.jp/biznews/2019/07/e772114005867212.html関税撤廃によって、EUとメルコスール間の貿易が促進されることは素晴らしいですね。
2019年6月28日、EUとメルコスールの自由貿易協定(FTA)は政治合意に達しました。
この協定は、EUとメルコスール間の貿易を促進し、両地域の経済成長を促進することを目的としています。
EUは、メルコスール市場へのアクセス拡大を目的とし、オリーブオイル、モルト、ワイン、桃の缶詰、スピリッツ、チョコレートなど、メルコスール側で高関税が課せられていたEU産品の関税撤廃を段階的に実施する予定です。
また、チーズ、粉ミルク、乳児用調製粉乳、ニンニク、チョコレート、カカオ中間品など、EUからの輸入農水産品について、貿易量ベースで96%、品目ベースで95%について、段階的に関税を撤廃するとしました。
さらに、EUは、EU産品の知的財産権保護として、350産品の地理的表示(GI)をメルコスール市場で保護します。
これは日EU・EPAの5倍弱に相当する規模となります。
EUは、GI保護により、EU生産者のブランド力向上とプレミアム価格での製品輸出を促進することを目指しています。
一方、ブラジル外務省によると、EUはメルコスールの農水産品に対し、貿易量ベースで82%、品目ベースで77%を自由化しています。
具体的な品目は、牛肉、鶏肉、豚肉、砂糖、オレンジジュースなどです。
EUは、これらの品目に対して、関税割当を設定するなど、メルコスールからの輸入に制限をかけています。
EUとメルコスールは、農産物の自由化を進めながら、それぞれの国内産業や消費者の利益保護を考慮した措置を講じているため、今後のFTAの発効と具体的な実施内容が注目されます。
そうですね。ブラジルは農業大国ですから、オレンジジュースなどの農産物の輸出拡大は経済活性化に大きく貢献するでしょう。
FTA発効による日本の輸出への影響
FTA締結は、世界経済に大きな影響を与えるので注目ですね。
✅ EU とメルコスールは、20 年に渡る交渉を経て FTA につき基本合意に達しました。
✅ EU は自動車など工業製品の市場アクセス拡大を期待し、メルコスールは牛肉や砂糖などの農産物輸出拡大を見込んでいます。
✅ EU とメルコスールは、世界で最も大きな貿易圏の一つとなり、両地域における貿易額の増加が期待されています。
さらに読む ⇒化学業界の話題出典/画像元: https://blog.knak.jp/2019/07/eumercosurfta.html日本製品は品質が高いので、関税が撤廃されても競争力は維持できると思います。
EU・メルコスールFTAは、署名から発効までにEU加盟各国議会とメルコスール各国の議会承認が必要で、発効には時間を要すると見込まれます。
日本からのメルコスール向け輸出品目とEUからのメルコスール向け輸出品目を比較すると、日本からの輸出品目で金額が大きいのは「ギヤボックスおよびその部分品」、「照明船、消防船、しゅんせつ船、クレーン船その他の船舶」、「ハイブリッド車(ガソリンエンジンでプラグイン車を除く)」などです。
一方、EUからの輸出品目で金額が大きいのは、「航空機用以外のその他のガソリン」、「石油化学製品向け軽質油」、「免疫産品」などです。
HSコード上2桁分類でみると、日本からのメルコスール向け輸出額の74.6%を占める上位5品目は、「完成車および部品」「原子炉、ボイラーおよび機械類ならびにこれらの部品」「電気機器および部品」「光学機器、測定機器、検査機器、精密機器、医療用機器など、およびこれらの部品」「有機化学品」です。
一方、EUからのメルコスール向け輸出額の74.6%を占める上位5品目は「原子炉、ボイラー、機械類およびこれらの部品」「医療用品」「電気機器および部品」「完成車および部品」「有機化学品」です。
EU・メルコスールFTA発効により、日本は関税面などで劣後する可能性があり、特に完成車および部品、原子炉、ボイラーおよび機械類ならびにこれらの部品、電気機器および部品、光学機器、測定機器、検査機器、精密機器、医療用機器など、およびこれらの部品、有機化学品などの品目で競合が予想されます。
ホンマやな!FTAで日本が不利になるんか?日本の輸出企業は、対策を練らんとアカンで!
EU農家の懸念と抗議活動
EU農家の懸念は、もっともだと思います。
公開日:2024/12/07
✅ EUとメルコスールは25年の交渉を経て自由貿易協定で合意しました。
✅ この協定により、EU域内の企業は年間40億ユーロの関税減免が見込まれ、EUは自動車などの輸出促進や南米鉱物へのアクセス確保を目指します。
✅ しかし、フランスなど一部のEU加盟国は反対しており、協定の発効は不透明です。
さらに読む ⇒朝日新聞デジタル:朝日新聞社のニュースサイト出典/画像元: https://www.asahi.com/articles/ASSD662W9SD6UHBI03RM.htmlEU農家の抗議は、FTAの課題を浮き彫りにしています。
EUは農家に厳しい環境規制をかけ、食料生産コストを高めている一方で、メルコスールとの自由貿易協定により、規制が緩い南米から安価な農産物を輸入しようとしているため、EU農家は不公平な競争にさらされることを懸念し、抗議活動を行っています。
特にフランスでは、農民組合がG20首脳会議に合わせて大規模な抗議を計画しています。
この協定は、EU農家の将来を脅かす可能性があると懸念されています。
EU農家は大変ですね。安い輸入品に価格競争で負けるのは、やっぱり不安だと思います。
EUとメルコスールFTAの進捗状況
FTAの進捗状況は、今後の世界経済に大きな影響を与えるので注目しています。
公開日:2024/09/26
✅ ルラ大統領はEUとメルコスールの貿易協定に署名する用意があると表明したが、交渉の成否はEU側の準備次第であると条件付きで述べた。
✅ ルラ大統領はブラジルの経済成長が予想を上回っており、議会での税制改革により安定がもたらされていると強調し、EUとの協定締結への期待感を示した。
✅ EU側の外交筋は、最近の交渉担当者会合で相違点の解消に向けた進展があったことを認めたものの、依然として溝が残っていることを指摘し、協定締結にはまだ課題が残ることを示唆した。
さらに読む ⇒ロイター | 経済、株価、ビジネス、国際、政治ニュース出典/画像元: https://jp.reuters.com/economy/IVQ62VL3N5O6BF6FTAO4JQS7OI-2024-09-26/EUとメルコスールのFTAは、多くの課題を抱えています。
スペインのホセ・マヌエル・アルバレス外務・EU・国際協力相は、EUが協議中のチリ、メキシコ、メルコスールとの自由貿易協定(FTA)の早期批准を求めました。
アルバレス外相は、中南米諸国とのFTA協議を前進させる重要性を強調し、EUとの互換性が高い地域であると述べました。
メキシコとEUは2020年にFTA再交渉が妥結しており、チリ・EU間では2005年にFTAが発効し、2017年からさらなる統合深化に向けた協議が行われ、2021年に妥結しました。
一方、メルコスールとのFTAは2019年6月に政治合意に至りましたが、署名はまだ行われていません。
FTA交渉の遅延は、ブラジルのアマゾン熱帯地域の森林保護に対する懸念や、メルコスール内部での足並みの乱れが原因でした。
しかし、ロシアのウクライナ侵攻を受け、EUはメルコスールとの戦略的な提携強化を目指し、停滞しているFTA交渉を進めたい意向を示しています。
ブラジルも、EUとのFTA発効がメルコスールにとって食料安全保障面で有利になると考えています。
ロシアやウクライナが輸出競争力を持つ農産品は、ブラジルやアルゼンチンも競争力を持っており、EUとのFTAは農産品貿易の拡大に繋がる可能性があります。
ルラ大統領は、EUとの協定締結に前向きな姿勢ですね。FTA発効は、両地域にとって大きなメリットをもたらすでしょう。
EUとメルコスールのFTAは、両地域の経済成長に貢献する一方で、日本の輸出への影響やEU農家の懸念など、課題も残されています。
💡 EUとメルコスールがFTA交渉で合意したこと
💡 農産物の自由化によって、日本の輸出に影響が出ること
💡 EU農家の懸念と抗議活動について